2025.07.01

見えないけど、確実にそこにあるもの。 & – AYAKO OGAWA

7月1日からTANKE -a house for oiso-ではじまる
『夏の雨 夏の星 』展 vol5 で
インスタレーションと詩の制作をした
&-AYAKO OGAWAの小川彩子さんに話を伺った。


「届かない距離のものを見ていると、わりとイメージが湧くというか、想像がふくらむというか。子どもの行動とか、どういう意味があったのかなとか、考えたり思いをよせたりしてる時に、わりと空を見ることが多くて…」

空を見てると
考えや思いが中空に浮かぶみたいな
見てはいるんだけれど
考えていていたり
反芻するような
感触をつかみ直す時間。

星のインスタレーション空間は
彩子さんが話してくれた時間が
空間の中で再生される。

彩子さんの詩は
息子さんの視点で書かれている。

ぼくの居場所
ぼくはどこへ行っても安心する場所をさがす
安心できるひともさがす
見つかってきもちがやわらぐこともあれば
見つからなくてかなしいきもちも味わった

いろんなところに安心できる場所と安心できるひとがいれば
ぼくの居場所がふえる

sensitivity2より

そこには
息子さんの行動を見つめ続けた
彩子さんの時間も入っているように感じる。

「自閉症の息子は、自分の気持ちを上手に言葉にして話せないんですけど
あれってどういうことだったんだろう
っていうのをよく考えていて
その瞬間は分からなくても
あとで取り出して
言葉をひとつひとつ拾う。
探して探して探して書いているうちに
わかってくることがあって。」

星のインスタレーションも
詩も
わからなさに覆われた世界の中に存在する小さなよすがのようにも感じる。

「気持ちとか空気とか動いてるもの、見えないけど、そこに確実にあるもの。そういうものが、なかったことになっちゃうのはやっぱりかなしいのかもしれない。」

他者や世界をわかろうとする気持ちであったり
自分の中の違和感に決着をしていくこと。
立ち止まって沈黙が注がれた
結実としての言葉の並び。


日常の中にある
わからなさや
違和感
不思議
そういうもの

通り過ぎず
星を見ながら
中空に想いを浮かべながら
触り直してみる
そんな時間の再生。

ぜひ体験してみてください。

photo & written by Jun Katsumata

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