2025.05.11

TANKE ?

「TANKE」は「タンケ」と読みます。漢字で表すと「探家」、スウェーデン語だと「思想/考え」を意味する言葉です。

2000年、神奈川県の青年国際活動支援を通じて、スウェーデンの町の社会事業部で学ぶ機会を得ました。障がい者支援の現場で働く中で、その進歩的な制度と社会に感銘を受けると同時に、二つの国の社会概念や思想の違い、その基礎となる家族観と個人観のあり様に関心を抱くようになりました。

「みんなの幸せ(=福祉)」とは何か?
固有の長い文化、思想を持つ日本の社会にどの様にしたら根付かせることができるのか?
そんな問いを胸に1年半の滞在を終えて帰国。2003年、仲間たちと「より良い社会のバランス」を考え、実践していくための「場」として、神奈川県大磯町に会社「case5(五感の箱)」をつくりました。

大磯は育った鎌倉から西へ20km、自然と歴史を色濃く残す、海辺の静かな町です。16歳の夏から一年間、温かな家族と過ごしたスウェーデンの小さな村の平和な風景と重なりました。
空が広く、時間が緩やかに流れるこの土地は、競争や時代の要請から逃れ、本質を見つめながら自分の歩幅で新しいことを始めるのにとても良い場所だと直感しました。

2003年の秋、最初のプロジェクトとして茶舗「TE HANDEL(ティーハンデル)」をスタートしました。お茶は古今東西、人々を癒し、つなぎ、文化を育んできました。幼い頃からお茶に親しんできた環境もあり、想いを表現し、社会と繋がるツールとしてお茶を選んだことは極自然で、また必然的な流れでした。
スウェーデンのティーブレンダーと協働した素材と本物の香りにこだわった円やかなオリジナルブレンドティーは、お茶を愛する感度の高い方々に支持され今日まで成長してきました。( TE HANDELについて→ www.tehandel.com/about

2015年、3年半の月日をかけて、スウェーデン時代からの友人で建築家の田根剛さんとともに「100年先に続く家」をコンセプトにした建築「a house for oiso」を完成させました。
それから10年、この建築を拠点に、地域に根差した様々な文化・芸術の発信を続けています。
(建物について→ www.tehandel.com/home

2022年には、新たな伝播表現として「音楽」に取り組みました。
日本社会や教育について共通の問題意識を持つクラシック音楽の演奏家たちと共に、室内楽のユースアンサンブルを立ち上げ、自由な感性と柔らかな知性を育む場を目指しました。オーディションには様々な地域から個性と才能ある子どもたちが集まり、二度の演奏会は成功を収めました。周囲からも継続への期待が高まる中、関係者間での方向性の違いが表面化。葛藤の中、悩みに悩み、プロジェクトの中止を決めました。2024年初夏のことでした。
やってくる喪失感と反省の中、自らに問い直し、見えてきたのは原点回帰、これから先も大切にしたい人たちと夢や願いを携えながら進むための「自らの覚悟」と「強い組織」の必要性でした。

「お茶」「建築」「音楽」という表現を通してここで目指してきたことは、穏やかな大磯の風に乗せて、世界を眺めるもうひとつの視点や問いを日々の暮らしの中に届け、共に考えながら生きる姿勢を伝播していくことです。その原点に立ち返り、若い世代を含む新しい4人のメンバーを迎え、7月1日、「TANKE」と言う新しい名でスタートします。

新生  TANKE の家  「a house for oiso」  で皆さまとまた元気にお会いできるよう、もうしばらく準備に勤しみたいと思います。
引き続き応援のほど、どうぞよろしくお願い致します。

【 TANKE – 7月企画 】
「夏の雨・夏の星」展 vol.5     7/1 – 7/7
Installation:  ayako ogawa    /  tane tane

< 追記  >
「同じ世代の若者と語り、考え、社会に繋がる場を作りたい」と無知を味方に25歳で創業して22年、経験をゼロから積み重ね、小さな挑戦を続け、時に失敗や苦境に直面しながら、やっと目指す「場」の外枠が見えてきました。そして気が付けば、良い中年の責任世代と言われる年齢になり、次の世代に想いや経験を伝える側になっていました。
文字が好きなのに言葉に懐疑的で、言葉の力を知るだけに文字の発信に慎重でしたが、2025年、自分の干支でもある巳年のヘビに背中を押され脱皮と再生を図るべき、自分が思っていること、日常の中で感じたことをなるべく正直にここで綴っていきたいと思います。
「配慮と保身と怠惰」によって、あまり実のない話ばかりになるかもしれませんが、、お付き合い頂けましたら幸いです。

TANKE代表 加瀬さやか

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